共通テスト記述式の問題点

国立二次試験で英作文や英語小論文の指導を長年指導してきた経験から共通テストの英語民間試験が延期されたことは賛成です。受験生にとっては良いことだと考えます。理由はマスメディアが様々な観点で取り上げておりますので、ここでは一つの事例を示すことで私の考えを述べたいと思います。もし延期がなかったら英語でも記述式が予定されていました。記述式が公平に採点できるはずもないことは直接生徒を指導している関係者なら分かるはずです。採点するには英語と日本語に精通していなければいけません。一つの例文で検証してみたいと思います。

 例えば、仮に

 『よく(君は)僕にそんなこと言えるなぁ』 とした記述式英作文問題があったとしましょう。

経験から普通の高校生ならこんな感じで書く人は多いと思います

You can't say such a thing to me。

次の文は一定のレベルに達している生徒の英作となるでしょう。

   How dare you say such a thing to me !

しかし、状況にもよりますが、長年のネイティブスピーカーとの交流経験から他にも表現方法があると思います。  Who are you talking to ?

直訳すると[誰に向かって話してるの!]ですが、いい方によっては可能ですし、むしろ面白いと思います。

あるいは、

     Who do you think I am ?

直訳すると[君は僕(俺)を誰だと思ってるんだ]も可能だと思いますし、私だったら面白いとして高得点を与えます。

     Who do you think you're talking to?

もいいかと思います。

 私は自分の生徒に,日本語の内容を把握したら,言葉にとらわれないで、状況をイメージするように指導します。そうすれば,自由な発想で,限られた語彙力でも十分表現できると日頃言っています。

つまり、たくさんの言い回しが可能なのです。更に、スペリングミスや文法のチェックをしなければいけません。2、3の模範解答を持たされて、バイト感覚で採点できるものではないのです!更に、50万人以上の答案を、短期間に公平な採点を期待することなんてできません。日本語と英語に精通した何千人という専門家を探し出して採点をお願いすることは不可能です。

 記述式は人によって評価が一定しないため中止は当然だったと考えます。国語も数学でも同じことが言えると思います。

 スピーキングの評価も公平にすることはできません。NHKで長年英語番組等に出ておられた著名な方が朝日新聞(11月18日)に寄稿されています。我々が言いたいことを見事に表現されています。

 リスニングの配点が100点になることも反対です。現在の50点でも多少の不平等が生じます。当日与えられた機械が不具合である可能性は常にあるのです。配点が増えた分、もしもの時のダメージは受験生には相当なものになります。

 受験生に公平で平等な機会を担保するためにも記述式は延期ではなく、中止にして再び議論の材料にしてはならないと考えます。

 受験者数が限られる国立大学の二次試験で、私立大学であれば独自の本試験で、記述式やスピーキングの割合を増やせばよいと考えます。

 長年、受験生と共に一喜一憂してきた人間の一つの感想です。                              受付専用番号 080 3920 2760